事例紹介:省エネ診断
省エネ診断例(大型美容室)
まず、過去の電気料金と現在の計測データから
電気エネルギーの使用状況を分析
電気料金分析
過去2年間で電気料金の最大値は約¥200,000~¥210,000程度であり、
主に夏季(7~8月)と冬季(12~3月)に高まる傾向にあります。
これは、季節性の負荷、特に空調に伴う電力が電気料金に大きく影響しています。
電気料金を構成している内訳電気料金の割合
ある企業の場合ですが電気基本料金は月額約¥75.000X12ヶ月です。これは年間電気料金の43%となっており、全体に対する比率としてはやや大きいです。
営業時間外の待機電力(約4KW)が、全体の電気料金に占める割合は9%。基本料金を含まない使用量のみに対する比率としては16%でやや大きいです。(標準9%)
基本料金の決定条件
お客様と電力会社との契約は、業務用電力です。基本料金は当月もしくは過去11ヶ月分のデマンド(最大使用電力・30分平均値)により決定されています。
過去のデーターよると、主に冬季(主に1月、2月)のデマンドにより1年間の基本料金が決定されています。
デマンド値の分析
1日のデマンド傾向を分析すると平日は38KWを上限として推移していますが、日曜日の9:00~9:30の間に記録されたデマンドが44KWです。この数44Kwにより、向こう11カ月後の基本料金が決定されます。
デマンド値が高くなってしまう原因としては、以下の背景が推察されます。
- 休日であり、来店されるお客様の数が朝から多い
- 気温が低く、寒いため、開店時間から暖房をフル運転させている。
- お客様の増加に伴い、機器の稼働率も高まり、電気機器類の同時使用率が高まる。
現在の室内温度を計測し温度状況を快適性、省エネルギー性を分析
温度グラフによる室内環境の分析
上のグラフは1階店舗の天井付近と床付近(足もと)の暖房温度測定グラフです。
このグラフから、わかることは…
- 足もとの温度が16~17℃までしか上がっていない。
- 天井付近の温度は30℃近くまで上がっており、エアコン最大設定温度に達している。
- 天井付近と床付近の温度差が10℃以上あり体感できる部分は寒く、体感できない部分が温かい。
- 暖房開始から適温状態になるまで約4時間程度かかっている。
- 暖房停止から約1時間は、活動に支障をきたさない程度の温度を維持できる。
これは主に建築の断熱性能と空調の吹き出し位置、吹き出し方法が原因ですが、
現在の設備ではどれだけエネルギーを使っても、足もとを温めることができません。
天井と足もとの温度差がほとんどなく、室内環境としては好ましいが、足もと温度が天井温度よりも 高温になっているため、1階の暖房エネルギーがかなり天井裏に逃げていることが推察される。
省エネルギー性の高い環境経営企業に向けて
エネルギーコストに電気基本料金の占めるウエイトが大きいことは先ほど御説明したとおりですが、
電気料金を効果的に削減するには、削減すべきターゲットを明確にして削減活動に当たるのが
最も効果的です。